都と企業の難しい挑戦

都庁では五輪招致は前知事、猪瀬直樹の功績で「舛添さんはそれにうまく乗った」と評する声がある。
そんな中でレガシー重視は「舛添らしさ」を訴えられるポイントだ。
だが20年五輪の難しさは選手村に適した土地が不便な所しかなかったことにある。
都の資料には「交通基盤が脆弱」「高潮対策が不十分な堤外地」という文言が並ぶ。
幹部は「売り切れるのか」と口をそろえる。
企業にとってもリスクは大きい。
6千戸は分譲マンション首位の住友不動産が14年に全国で売り出したのと同規模だ。
1カ所で同時に販売するには無理がある。
事業協力者の選定は水面下で駆け引きが続いた。
候補の一つは三井不などのグループ。
同社には「我々がやらずに誰がやる」と湾岸で事業をてがける企業としての自負があった。
もう一つが大和ハウス工業
都が3月に発表した事業協力者は両者が合体した大連合だった。
企業のリスク低減を優先したからだ。
五輪のスポンサー契約を結んだ三井不は4月20日、都内で記者会見を開いた。社長の菰田正信は「20年の先に何を残すかレガシーの視点が重要」と、失敗できない計画への重圧をうかがわせた。
都と企業の難しい挑戦が始まった。